介護士の労働賃金の実態
介護士が現在の仕事を選んた理由として「働きがいがあると思ったから」が約55%と高い一方「仕事内容の割に賃金が低い」という人が約43%とやり甲斐を感じながらも不満を抱えています。公益介護労働安定センターが取りまとめたデータによると介護労働者の残業代を含む実賃金は全体で平均233666円です。
内訳をみると訪問介護士は200731円、介護職員は218000円とさらに低賃金なのが実情です。この低賃金が介護士の離職を進め、人手不足に陥り長期労働、休日出勤、夜勤の増加などの労働環境の悪化に繋がり、介護業界での人材不足をますます加速しているのです。現在介護職の離職率は約17%と全産業(16%)に近づいてきたのですが、有効求人倍率は2.5倍程度あり全産業の倍以上の求人があり、働き口があるのに働き手がないことが明らかなのです。
低賃金・長時間労働の改善に必要なもの
対策として政府は賃金を月12000円上げる方針ですが守られていないのが実情です。この介護業界の劣悪労働環境は介護報酬の安さが原因です。現在様々な業種から介護業界に参入していますが経営手腕によりどうにかなる問題ではなく介護保険制度自体を変えなければますます人材不足が続いていくのです。サービス内容と価格を自由に決められて介護報酬を増やせるばいいのですが、現在介護報酬が公定価格で上限が決まっているので賃金を上げられないのです。
そのために賃金を上げるには介護保険料を上げるか他の有料サービスと一緒にした混合介護を認めるしかないのです。政府が介護士の人材不足解消のために2016年から外国人技能実習制度の介護分野への拡充を決め、これから外国人介護士の増加が見込まれています。しかしこのような付け焼き刃的な対処の仕方では来たる2025年に介護士が30万人以上不足するという問題の解決には至らないので早急に介護士の地位や労働条件改善など抜本的改革に取り組まなければ手遅れになるのです。